
離乳食で喉に詰まらせないか心配なとき
窒息のリスクは食べものの名前だけで決まるわけではありません。丸くてかたい形、粘ってまとまる食感、歩きながら食べる状況が重なると、リスクが大きくなります。
この記事で見ること
- えずきと本当の窒息を見分ける方法
- なぜ丸い食べものの方が危ないのか、その理由
- ぶどう・ソーセージ・ナッツをどう変えて出すか
- もしものときに備えた応急対応の手順
子どもが「おえっ」とすると、つい手が止まる場面
離乳食を始めたばかりのころや、手づかみ食べを始めた直後によくある場面です。子どもが急にゲホゲホしたり、顔が赤くなって目に涙がたまると、親は心臓が縮む思いがします。ぶどうを一粒あげて後悔が押し寄せたり、にんじんを蒸したものなのに、この大きさで大丈夫なのかと何度も確かめてしまったりします。
でも、この場面には実は二つのことが混ざっています。一つは子どもの体が自分で押し出そうとする正常な反応で、もう一つは本当に素早く動かなければならない状況です。この二つを見分けることが、この記事でいちばん最初にお伝えする内容です。
まず一行でいうと
顔が赤くなり、声を出してゲホゲホしているのは、ほとんどが正常な防御反応です。静かに顔が青くなって声が出ないときは、すぐに動かなければなりません。
🔍 「おえっ」と本当の窒息は、どう違うの?
子どもが慣れない食感に初めて出会ったとき、舌が前に押し出したり、ゲホゲホと音を立てたりするのは、嘔吐反射(おうとはんしゃ)と呼ばれます。これは気道を守るために働く正常な反応です。とくに離乳食を始めたばかりの子どもほど、舌の奥がとても敏感で、少しでも塊があると押し出そうとします。顔が赤くなり、涙が出て、せきの音がしますが、その間も息はしています。
本当の窒息は違います。気道がふさがって空気が出入りできないため、ほとんど音がしません。せきをしようとしてもせきの音が出ず、顔が青く変わったり、子どもがぼんやりした表情で頭を前にうなだれたりします。この状況では、素早く動く必要があります。
今、どんな状況ですか?
子どもがゲホゲホしているとき、下を素早く確認します。
- 声が出ていて顔が赤いせきの音、泣き声、「おえっ」という声が出ていれば、気道が完全にはふさがっていない状態です。落ち着いて見守りながら、子どもが自分で押し出すのにまかせます。背中をやみくもに叩かなくても大丈夫です。
- 声が出ず顔が青くなる声が出ない、子どもがぼんやり前を見ている、顔が青くなる、こうした場合はすぐに応急対応を始めます。1歳未満は背中を叩く方法、1歳以上はハイムリック法の順で進めます。
🍇 丸い形がなぜもっと危ないの?
子どもの気道の直径は約1.5cmです。皮つきのぶどう、ミニトマト、丸いソーセージの輪切りのように、この直径に近い大きさの丸くてつるつるした食べものが気道に入ると、まるで栓のようにぴったりとふさいでしまいます。そして丸い形は抜けにくいのです。長方形や不規則なかけらなら空気が抜ける隙間ができますが、球形(きゅうけい)にはその隙間がありません。
かたさも大切です。子どもの歯ぐきや歯は、まだ大人のようにかたいものを素早く砕けません。生にんじん、生りんごの大きなかけら、皮つきナッツのようにかたいものは、十分に噛みくだかれる前に丸ごとのどを通ってしまうことがあります。粘ってまとまるものも同じです。お餅、マシュマロ、スプーン一杯分のピーナッツバターは、気道の壁に張りついて抜けにくくなります。
安全かどうかを判断する簡単な目安があります。親指と人さし指で食べものをつまんで軽く押したとき、簡単につぶれるなら、ほとんどが安全です。ソフトテストと呼ばれる方法で、子どもの歯ぐきの力に合わせて確かめるやり方です。指でつぶれないものは、もっと加熱するか、もっと小さく切る必要があります。
🥕 食べものをどう変えるとよいの?
減らして変えること
🪑 なぜ姿勢が食べものと同じくらい大切なの?
子どもが食べている間に歩いたり走ったりすると、飲み込むリズムが乱れます。ぐらついたり、もたれた姿勢でも同じです。飲み込む動作は、舌・のど・食道が順番に動かなければならない協調動作で、体が不安定だとこの順番がずれてしまいます。車の中やベビーカーで食べるときにリスクが高くなるのも、ここに理由があります。揺れている状況では、親が子どもの顔をまっすぐ見ることも難しくなります。
食卓の椅子やベビーチェアに座って、体が安定した状態で食べることが大切です。きょうだいが食べものを手渡してしまって起こる事故も多いです。上の子のおやつや小さなおもちゃが、下の子の手に届かないように別にしておくことも気をつけたいポイントです。
よく迷う質問
親がよく聞くこと
- えずきが多いと、あとでよくなりますか?離乳食の初めのころにえずきが多いのは、よくあることです。舌の奥にある嘔吐反射の反応点が、最初は前の方にあって、噛んで飲み込む経験が積み重なるにつれて後ろへ移っていきます。無理に慣れさせようとしなくても、いろいろな食感をこつこつと経験していけば、ほとんどは減っていきます。
- 車の中でおやつをあげてはいけませんか?小さな食べものは、車の中であげない方が安全です。子どもの顔をずっと確認するのが難しく、揺れる姿勢では飲み込むタイミングも不安定になります。
- ブルーベリーも切らないといけませんか?ブルーベリーは皮つきのぶどうより小さいですが、12か月未満なら半分に軽く押して平たくしてあげる方が安全です。12か月以降も、一度にたくさんの粒を口に入れないよう、少しずつあげます。
- えずきを見たら背中を叩くべきですか?顔が赤く、声を出せる状態なら、気道が完全にふさがっているわけではありません。このときに背中をやみくもに叩くと、かえって驚かせてしまうことがあります。声が出ず顔が青くなったときに、応急対応を始めます。
🚨 本当に詰まったとき、覚えておきたい手順
声が出ず顔が青くなったら、すぐに動きます。
1歳未満:まず背中を叩く
赤ちゃんをうつぶせにして腕の上にのせ、頭を胸より低くします。
手のひらの付け根で肩甲骨の間を5回強く叩きます。次にひっくり返して、指2本で胸の真ん中を5回押します。異物が出てくるか、息ができるようになるまでくり返します。意識がなければ、すぐに119に通報します。
1歳以上:ハイムリック法
子どもを後ろから両腕で抱えます。
握りこぶしをへその少し上に置き、もう一方の手で包むように握ってから、内側上方へ強く押し上げます。異物が出てくるまでくり返します。指で口の中をかき出すことはしません。目に見える異物だけを取り出します。
応急処置の方法は、説明を読むだけでは足りません。地域の消防署、保健センター、赤十字などで乳幼児の応急処置講習を行っています。実習で一度経験しておくと、いざというときに手が先に動きます。
今日、食卓で変えること
今すぐできること
- 丸い食べものは縦に4等分ぶどう、ミニトマト、さくらんぼは縦に切ります。半分に切るだけでは、まだ詰まることがあります。
- ソーセージは縦にまず半分に割る丸い切り口がなくなるように長く割ってから、小さく切ります。
- まず座って食べる歩きながら、車の中で食べる習慣を減らします。食事中は子どものそばでずっと見守ります。
- ソフトテストをやってみる食べものをあげるたびに、指で軽く押してみます。簡単につぶれれば、ほとんどが安全です。
窒息の予防は、こわがらせることではありません。えずきと窒息の違いを知り、食べものの形を少し変え、子どもが座って食べる環境をつくれば、この心配のほとんどは減っていきます。