
ワンダーウィークの時期と月齢ごとの気質の変化
昨日までよく眠っていた子が急に眠らなくなり、知らない大人にもよく笑っていた子がママの腕の中ばかりに潜り込み、おだやかだと思っていた子が急にしがみつき始めます。気質が変わったわけではありません。子どもの中で新しい発達が起こるたびに、同じ性質が違うかたちで表面に現れてくるのです。
この記事で分かること
- なぜ月齢ごとに子どもが違って見えるのか、その発達のしくみ
- 3〜8か月:リズム、なだめられ方、知らない刺激への慎重さ
- 9〜14か月:分離不安と最初の「イヤ」の時期
- 15〜20か月:体が先に動く時期と大きな感情
- 21〜36か月:ことばが出てきたけれど、まだ揺れる調整の力
まずは一言でいうと
気質の性質は生まれた直後からはっきりしていますが、脳と体が発達するたびに、その性質が表面に現れる方法が変わります。睡眠退行、人見知り、分離不安、かんしゃくは、子どもが悪くなったのではなく、新しい力が育つ過程で一時的に不安定になっているサインです。
🌱 3〜8か月:感覚で世界を測る時期
この時期の子どもは、音、光、触り心地のように感覚から入ってくる情報を主な通り道として世界を読み取ります。まだ自分で体を動かせないため、まわりの刺激が多すぎたり予測できなかったりすると、泣くことや体の緊張で先に見せてきます。
このころに眠りが急に乱れることがよくあります。睡眠の周期が新生児型から大人に近いかたちに変わり、浅い眠りと深い眠りを行き来するようになるのですが、周期と周期の間に一人でまた眠りにつくのが難しいのです。くせがついたのではなく、脳が新しい構造をつくっている時期です。
6か月前後になると、見慣れた顔と知らない顔を区別し始めます。知らない大人を見て表情がこわばったり、初めて見る場所でしばらく親のほうばかりを見たりするのは、子どもが「この人は自分が知っている人かな?」と確かめている過程です。早く近づいていく子もいれば、長く見守る子もいます。この違いが気質の最初の目に見えるサインです。
この時期に見ておきたいこと
🔍 9〜14か月:「いなくなっても戻ってくる」を知った時期
このころに起こる大きな変化が一つあります。目の前になくても存在し続けるということを知るようになります。親が部屋を出たあとも、どこかにいるということを今は理解します。まさにその理解が分離不安を大きくします。「いなくなっても、また戻ってくる」ことは分かるようになりましたが、まだ「いつ戻ってくるのか」は分かりません。だから、ママがちょっとトイレに行くだけでも大きく泣くのです。
はいはい、つかまり立ち、最初の一歩のように体が動き始めると、脳も新しい運動回路を一晩中練習します。眠っている間も活性化したままなので、夜中に立ち上がって泣いたり、また眠りにつくのが難しい日が出てきます。昼間に体を十分に使うと夜に少し落ち着くのも、そのためです。
保育園や預け先を初めて始める時期と重なることもあります。米国小児科学会(AAP)は、この時期の分離をつらくしすぎないためには、毎日似たような短いお別れの習慣をくり返すことが助けになると説明しています。こっそり出ていくとかえって不安を大きくしかねないので、短く一貫してあいさつをして離れるほうがよいのです。
この時期に見ておきたいこと
💥 15〜20か月:体が心より速い時期
歩き回るようになって世界は広がりましたが、ほしいものをことばで伝える力はまだ十分ではありません。「これがほしい」「あそこに行きたい」「これはイヤ」が頭の中にあっても、ことばが追いつかないので体が先に出ます。投げたり、押したり、声を上げたりする場面は、気持ちを伝える手段が足りない状態から出てくることが多いのです。
ZERO TO THREEは、この時期の難しい行動を「悪いくせ」ではなく、子どもが欲求や負担を伝える方法だととらえています。おなかがすいていたり、疲れていたり、していた遊びが急に途切れたりすると、体の反応がより大きくなります。「もっと厳しくしつけるべきかな」と思う場面で、まず見たいのは子どもの体の状態です。
分離不安の二つ目の波がこのころに来ます。自我が芽生え「わたし」という感覚が生まれると同時に、「ママやパパとわたしは分かれている」という経験がよりはっきりします。寝かしつけで激しく拒んだり、保育園の玄関でしがみつく日が急に増えることがあります。
🗣️ 21〜36か月:ことばが出てきたけれど、まだ揺れる時期
この時期はことばが爆発的に増えます。でも、ことばが出てきたからといって、すぐにすべての状況をことばで処理できるわけではありません。疲れていたり、おなかがすいていたり、慣れない状況では、新しく出てきたことばよりも体の反応が先に出ます。「さっきはことばで言えたのに、今はどうしてまた投げるんだろう」というのは、力にむらがあるからではなく、状態によって使える資源が変わるからです。
このころ「イヤ」「自分でやる」「やらない」がぐっと増えます。自分でできるという感覚が生まれ、大人が代わりにやってあげることを拒みます。危ない状況でなければ、少し待ってあげることが助けになります。次の行動へ移る切り替えも難しいです。していた遊びを急に終わらせなければならないときに激しく抵抗するのは、脳が一つの活動から別の活動へ注意を移す力がまだ育っている途中だからです。
想像力が育つことで、暗さや音に怖さを感じ始める子もいます。寝かしつけのときに「おばけがいる」「こわい」と言うのは、現実と想像を区別する力がまだ完成していない時期に現れる、自然な変化です。
この時期に見ておきたいこと
よく迷う質問
親がよく聞く場面
- 子どもが変わったのですか、それとも元々そうなのですか?子どもの性質そのものは大きく変わりません。新しい発達が起こるたびに、その性質が表面に現れる方法が変わるだけです。敏感だった子は敏感なまま成長します。ただ、その敏感さがどんな状況でどう表れるかが変わるのです。
- ワンダーウィーク(発達の飛躍)と気質はどんな関係ですか?発達の飛躍の時期に、子どもの脳が新しい力をつくりながら一時的に不安定になります。このとき気質の特徴がよりはっきりと現れます。ふだんから刺激に敏感な子なら飛躍の時期にもっと泣き、新しいものを慎重に受け入れる子なら飛躍のあとも適応に時間がより必要になります。
- 月齢表とうちの子が違います月齢の目安は平均です。歩き始める時期、ことばが出てくる時期、人見知りが強くなる時期は、子どもによって数か月ずつ差があります。子どもの今の姿を月齢表と比べるよりも、ここ2〜4週間と比べてどんな変化があるかを見るほうが役立ちます。
- 心配になったときは?発達の目安から大きく外れていたり、以前できていたことを長い間できなくなったり、親として直感的に心配になるのであれば、まず小児科に相談するのが正しい判断です。この記事は一般的な気質の変化を説明するものであって、個別の診断に代わるものではありません。
今日やってみること
今、子どもがどの時期にいるかを確認します
3〜8か月、9〜14か月、15〜20か月、21〜36か月のどの時期かを確認し、その時期に現れる発達の変化が、今見えている姿と一致するかを見てみます。
変わったことと、変わらないことを分けてみます
体の反応は大きくなったけれど、なだめる方法はそのままか、知らない状況では慎重だけれど慣れるとよく遊ぶか、というように、変わったことと子どもの元々の性質を分けて見ると、混乱が減ります。
なだめられる方法を一つだけ覚えておきます
抱っこの長さ、聞き慣れた声、静かな環境のように、この子に早く効く落ち着かせ方を一つ知っておくと、つらい瞬間にすぐ取り出せます。