子どもの生まれ持った反応と、経験のなかで育った表れを並べて見せるイラスト

気質と性格の違い、
どこが違うのでしょう

知らない人の前でママの脚のうしろに隠れる子を見ると、「怖がりな性格なのかな」と思いますよね。でも同じ子が、家ではソファの上に飛び乗り、見慣れないおもちゃを真っ先に手に取ったりします。気質と性格を同じ言葉で使ってしまうと、子どもをとても狭く見ることになります。

この記事で見ること

  • 気質は生まれ持った反応のしかたで、性格はその上に経験が積み重なってつくられていく姿です
  • 気質は変えるのが難しいですが、性格はどんな環境で育つかによって変わります
  • 同じ気質でも、親との関係・経験・生活リズムによって、ちがう性格になっていきます
  • 「どうしてこうなんだろう」よりも「いまこの子は、どんな刺激にどう反応しているか」を先に見ると、進む道が変わります

まず一行で見ると

気質は、子どもが世界を受け取る基本的な速さとしかたで、性格はその上に経験が積み重なって育っていく姿です。気質を先に知っておくと、子どもの行動を「クセ」や「性格の問題」ではなく、「この子が世界を処理するしかた」として読み取れるようになります。

🌱 知らない場所で固まってしまう子、怖がりな性格なのでしょうか?

保育園に初めて連れて行った日。ある子は玄関でママの手を離す前に、教室のなかをずっとのぞき込んでいました。先生が手を差し出しても顔をそむけ、ほかの子たちが笑って駆け出していくのに、その場に立ったままでした。「社交性がないのでは」と思ったかもしれません。でも一か月ほど経つと、毎日「いちばんに入る!」と走って行くようになりました。

こうした子の行動は、知らない場面ではまず様子をうかがい、安全だと十分に確かめてから入っていく反応のしかたです。怖がりな「性格」ではなく、新しい刺激に対してウォーミングアップの時間がもっと必要な気質の一つの表れなのです。反対に、初めて来た公園ですべり台へまっすぐ駆けていく子は、近づく速さが速い気質を生まれ持っているのです。この二人のうち、どちらがよりよく育つということではありません。

🔍 気質とは何で、どうすれば分かるのでしょう?

気質は、生まれたときから見られる反応のパターンです。刺激にどれくらい速く反応するか、知らないものを前にしてまず近づくのか様子を見るのか、遊びをやめなければいけないときにどれくらい大変そうにするか、泣いたり興奮したりした後どれくらい速く落ち着くか。これらはすべて気質の一部です。こうしたパターンは、いろいろな場面でくり返されます。家でも、保育園でも、知らない場所でも似たように表れるなら、気質として見ることができます。

気質を見る研究では、大きく三つの筋を見ます。新しいものにどれくらい活発に近づいていくか、ふさがれたり嫌なことが起きたときにどれくらい強く反応するか、そして待ったり止まったり注意を移したりするのがどれくらいうまくできるか、です。この三つの筋は悪い・良いというものではなく、子どもごとにちがう処理のしかたです。気質は簡単には変わらないので、「直す」方向よりも「分かってあげて、合わせていく」方向のほうが助けになります。

うちの子の気質、どう見ればいい?

🌿 性格はいつ、どうやってつくられるのでしょう?

性格は、気質の上に経験が積み重なりながら育ちます。反応の速い子が、うまくいかないたびに親に十分受けとめてもらえたなら、挑戦を簡単にはあきらめない性格に育っていくことがあります。反対に同じ気質の子が、小さな失敗にも強く叱られていたなら、新しいことを試す前にまず顔色をうかがう姿に育っていくこともあります。気質は似ていても性格が変わってくる理由です。

性格は幼児期に芽が見えはじめますが、学齢期以降にだんだんはっきりしてきます。価値観、人との関わり方、ストレスとの付き合い方といったものが、長い経験のなかで固まっていきます。だからこそ、子どもの気質をよく理解し、それに合った環境と関係をつくってあげることが、性格が良い方向へ育つうえで大切なのです。気質が「種」だとすれば、性格は、その種がどんな土でどれくらい水をもらいながら育ったかによって変わる木に近いといえます。

🔄 気質と性格を分けて見ると、変わること

子どもが友だちのおもちゃを取り上げると、「欲ばりな性格なんだな」と思いますよね。でも気質というレンズで見ると、変わってきます。ほしいものを手に入れるまで時間を耐えるのが難しい反応のしかたを持つ子なら、いまのこの行動は、待ったり交渉したりする力がまだ育っている途中だというサインかもしれません。「欲ばりさん」と決めつけると、子ども全体がまちがっているように感じられますが、「待つのがまだ大変な子」として見ると、今日できることが具体的に見えてきます。

知らない場所でママの脚のうしろに隠れる子も同じです。「怖がりな性格」と結論を出してしまうと、親も子もすぐに疲れてしまいます。でも「新しい場面に十分な確認の時間が必要な子」として見ると、これから知らない場所へ行くとき、前もってどんな場面なのかを話してあげて、ゆっくり入っていく時間をあげればいい、という方向が見えてきます。

줄여요性格が繊細だから仕方ない
대신해요この子は知らない刺激に、もっと確認の時間が必要なんだ。今日は十分に見てまわらせてあげよう。
줄여요もともと頑固なんだよね
대신해요していたことをやめるのが大変な子なんだ。終わる前に前もって知らせてあげると、ぐっと楽になる。
줄여요どうしてこんなに敏感に振る舞うの
대신해요いまこの場面が、この子には入ってきすぎているのかも。刺激を少し減らしてみよう。

💬 よく混同される質問

親がよく尋ねること

  • 気質は絶対に変わらないのですか?気質の大きな方向は、なかなか変わりません。反応の速い子がのんびりになったり、慎重な子が急に大胆になったりするのは難しいことです。ただ、子どもが育つにつれて自分の反応を自分で調節する力がつき、親との経験が積み重なるなかで、知らない場面でももう少し落ち着いて入っていける方向へと変わっていくことはあります。
  • 気質が悪い子もいるのですか?気質に良い・悪いはありません。反応が大きく速い子は、小さな変化にも気づく感覚を持っているのです。慣れるのに時間がかかる子は、新しいものをゆっくり十分に身につけていくしかたを持っているのです。どんな気質でも、合った環境と関係のなかで育っていけます。
  • うちの子の気質が何なのか、どうやって分かるのでしょう?いろいろなちがう場面でくり返されるパターンを見ればよいのです。お腹が空いたとき、疲れているとき、新しい場所で、好きなものを取り上げられたとき、子どもがどう反応するかを数日観察してみると、輪郭が見えてきます。一つの場面だけで強く反応したのであれば、その日の状態だったのかもしれません。
  • 気質と発達の遅れは、ちがうものですか?気質は行動のしかたで、発達は能力が備わっていく時期のことです。言葉が遅いこと、手の協調が難しいことは気質の問題ではなく、発達の速さに関わることです。反応がゆっくりで慎重だからといって発達が遅いわけではなく、反応が速く活発だからといって発達が速いわけでもありません。気になるところがあれば、小児科で確認するのがよいでしょう。

📝 今日やってみること

  1. 今日、子どもがいちばん大変だった場面を一つ思い出してみましょう

    ごはんを食べなかったでしょうか、外出前に爆発したでしょうか、友だちのおもちゃを取り上げたでしょうか? 場面を一つだけ選びましょう。

  2. その場面で子どもがどんな刺激を受けていたかを見てみましょう

    お腹が空いていたか、疲れていたか、急に終わらなければならなかったか、知らない状況だったか。この四つのうち一つでも重なっていると、気質の反応が大きくなりやすいです。

  3. 行動よりも状況を先に変えてみましょう

    同じ状況をもう少し前もって予告したり、刺激を減らしたり、先にごはんを食べさせたり、終わる5分前に知らせたりすること。行動が変わるのが見えたら、それがこの子の気質の方向です。

Thomas & Chess(1977), Rothbart & Bates(2006), Cloninger TCI(1993), Shiner & Caspi(2003), Zentner & Bates(2008), AAP(2018), ZERO TO THREE. 本資料は診断ではなく、家庭で子どもの傾向を知るときに使う言葉を整理したガイドです。発達への気がかりが続く場合は、小児科または子どもの発達の専門家に相談することをおすすめします。