親がおもちゃのかごを指さすと、子どもがおもちゃを手に持ったまま見つめている場面

言うことを聞かない子に見えるとき

朝に「靴を履こう」と言うと玄関のほうを見ます。言葉はちゃんと聞こえています。それでも子どもは手に持った車を転がしたり、そのまま床に座り込んだりします。こうした瞬間をわがままや反抗と捉えると、親も子もすぐに疲れてしまいます。

この記事で分かること

  • 「分かっているのにどうしてやらないの?」と思う瞬間、実際には何が起きているのか
  • ひとつの指示に従うために必要な三つの力
  • 疲れていたり興奮していたりすると、いつもできることもできなくなる理由
  • いつ、どんな方法で手助けするとうまくいくのか

まずは一言でいうと

「靴を履こう」は親の目には簡単な一言ですが、子どもにとっては、していた遊びを止めて、靴という物を頭に思い浮かべて、足を動かして履く順番までを一度に処理しなければならない課題です。この力はこの時期を通じて育っている途中で、疲れていたり興奮していたりする日は、いつもよりずっと難しくなります。

🔍 ひとつの指示に隠れている三つの負担

「靴を履こう」「おもちゃを入れよう」「手を洗おう」のような言葉に従うには、三つのことが同時に必要です。

  • 今していることを止める力。遊びに夢中になっていると、この「止める」こと自体が大きな課題です。
  • 聞いた言葉を少しのあいだ記憶にとどめておく力。言葉を理解することと、その言葉を体が動くまで保ち続けることは別のことです。
  • 実際に体を動かして次の行動を始める力。分かっていても、始める段階で止まってしまうことがよくあります。

Harvard 児童発達センターがまとめた資料によると、この三つはいずれも乳幼児期を通じて少しずつ育っていく力であり、特に新しい状況や疲れている状態では目に見えて弱くなります。子どもが「分かっているのにやらなかった」と感じられる瞬間のほとんどは、記憶や始める段階でつまずいているのです。

🌡️ 疲れているといつもできることもできない理由

昨日は「おもちゃを入れよう」の一言で入れたのに、今日はどうしてできないのだろうと思う日があります。こうした日にはたいていパターンがあります。降園直後、ごはんの前、寝る前のように、体が疲れていたりお腹が空いていたりする時間帯に多く現れます。

子どもがすでに持っている力も、疲れていたり興奮していたりお腹が空いていたりすると使いにくくなります。大人も疲れていると慣れた作業で失敗するのと似ています。しつけをより強くする前に、今この子がその力を使える状態なのかをまず見るほうが早道です。

今この瞬間、まず子どもの状態を見ましょう

このうちひとつでも当てはまるなら、指示の仕方を変えるか、指示そのものを少し先延ばしにするほうがよいかもしれません。子どもを変えようとする前に、場面を変えるほうが早道です。

🗓️ 月齢ごとに違って見えます

CDC の発達マイルストーンで見ると、18か月ごろの子どもは一段階の指示(「ボールちょうだい」)に従えますが、二段階の指示(「ボールを持ってきてかごに入れて」)はずっと難しくなります。二段階の指示に安定して従えるようになるのはふつう30か月前後からと観察されており、それも慣れて繰り返された状況のほうがうまくいきます。

見慣れない指示、いくつもの段階が混ざった指示、急に流れを断ち切る指示は、同じ月齢でもずっと難しくなります。「手を洗って、席に座って、スプーンを持って」を一度に言うと、最初のひとつだけを覚えていたり、全部を聞いて止まってしまったりするのは自然な反応です。

✅ 今すぐ試せること

  1. 一度にひとつだけ

    「片づけて、手を洗って、ごはんを食べよう」より「ブロックをひとつ箱に入れよう」のほうがずっと簡単です。次の行動は、最初のひとつが終わってから言いましょう。

  2. 近くに行って、目の高さで

    遠くから呼ぶと、声は聞こえても指示として処理されにくくなります。近くに行って名前を呼び、子どもと目を合わせてから話しましょう。

  3. 手ぶりや物で見せる

    かごを指さしたり、靴を子どもの足の前に置いたり、手を差し出して「ここ」を見せると、言葉が行動につながる橋ができます。

  4. 「やめなさい」ではなく、やってほしい行動で

    「走らないで」より「足はゆっくり」、「投げないで」より「ボールは床に転がそう」のほうが子どもには具体的です。禁止の言葉は止まれという合図を出すだけで、次の行動を教えてはくれません。

  5. 小さな選択を差しはさむ

    「靴を履いて」で止まってしまうときは、「青い靴が先、黄色い靴が先?」のように狭い選択肢を出すと、子どもが自分で決めながら動き始められることがあります。

❓ よく迷う質問

わざとやらないのでしょうか、それとも本当にできないのでしょうか?

両方が混ざっていることもありますが、まず確かめたいのは「わざと」ではありません。指示が長すぎなかったか、疲れていたりお腹が空いていたりする時間帯だったか、していた遊びを急に断ち切ったかをまず見ましょう。「わざと」から始めてしまうと、せっかく変えられることを見落としてしまいます。

二段階の指示はいつごろ期待できますか?

30か月前後から、二段階の指示に従う姿が観察でよく見られるようになります。ただし子どもによって差があり、繰り返しの慣れた日常の指示から先にできるようになることが多いです。見慣れない状況や疲れている日には、すでにできていたことも難しくなることがあります。

子どもがしばらくよく従っていたのに、急にやらなくなる理由は何でしょうか?

力がなくなったわけではなく、今この瞬間その力を使いにくい状態なのかもしれません。疲れ、空腹、急な切り替え、たくさんの刺激が重なった日は、いつもよりずっと難しくなります。発達は階段のようにきれいに上がっていくのではなく、状態によって上がったり下がったりします。

📓 3日だけ書いてみること

いつ難しくて、いつうまくいくのかパターンを見つける

  • どの時間帯に多く起きますか?降園後、ごはんの前、寝る前のように、特定の時間帯が繰り返されていないか見ます。
  • 指示の直前に何がありましたか?画面を消した、興味のある遊びが途切れた、知らない場所から帰ってきた、長いあいだ食べていない状態だったかを書いてみましょう。
  • どんなふうにするとうまくいきましたか?近くに行って話したとき、手ぶりを添えたとき、ひとつだけ言ったときのように、うまくいったやり方も残しておきましょう。このパターンが、次の場面を少し楽にするヒントになります。

目標は子どもを早く変えることではありません。どの場面で難しく、どの場面でうまくいくのかに気づけると、指示の仕方を少しずつ整えていけます。小さな成功体験が積み重なると、子どもも親もより楽になります。

참고한 자료

この記事は、発達マイルストーン、実行機能、共同調整の資料をもとに、アイムムルの保護者向けコンテンツの方向性に合わせて生活場面を中心に整理し直しました。